サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-
Amazonの初回限定版(店舗特典なし版)
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※ネタバレ注意(引き返してください)
テキストの好きなくだりをとりあえずメモってるけど後で削ります
総評
・新ヒロイン本間心鈴のCVが夏和小さんで(ここには書けない理由も含め)最高だった。
・但し心鈴√後半はすかぢさんのふたなり趣味が爆発してて正直ついて行けない…CV夏和小さんじゃなかったら飛ばしてた
・サクラノ詩で氷川里奈のCVをしていた藤森ゆき奈さんが引退されて残念(Webサイトのキャストに里奈と優美載ってなくない?)。
・でも里奈が口を開いたら猫村ゆきさん!!!こんな所で出会えるとは!鳥肌立った!最高!。
・本作で心鈴×直哉を差し置いて里奈×優美のシーンが一番好きまである
・家柄とか血筋で人を見下すのはクソダサイと思った(麗華とか寧とか。ただ、そこには彼女たちがそこまで醜くなるに至った境遇だったり経緯だったりがあって、よく描いたなあよく演じたなあという気持ち)
・憎まれ役に思える人々にもそれぞれの理由だったり信念だったりがあって、終わってみれば誰もが愛すべき存在に思えた
table:ムーア展
élan phoque あざらし
élan otarie おっとせい/あしか
argent dauphin 銀 いるか
or baleine 金 くじら
platine épaulard プラチナ シャチ
(「エラン」は飛躍とかの意味のélanでいいのか?)
第I章 La gazza ladra - 泥棒カササギ
麗華「誰だって、血の遺産を受け継いで生きているのだから」「それを憂鬱と取るか恩恵と取るかは人それぞれだけれども」
静流「血の憂鬱と、血の恩恵か……」
紗希のクーデターで学園を追われた麗華だけど、学園でのそれまでの(藍に対する)暴虐などを思えば同情の余地が1ミリもない
■あたおか麗華さんとその周辺
・〈体験版プレイ時の感想〉いい体験版だった。麗華の屈折した友情に涙。本編が楽しみ。ーー屈折した友情では安っぽいかな
屈折しているのは静流もだし(彼女にも自覚があったわけではなく)、静流の心の裏に見た友情のそのかけがえのなさに気づいてしまうもこれまで捻じ曲がった表現しか持たないままに生きてきた麗華が屈折した形のまま懸命に思いを表現する様が尊すぎる
・静流との関係
麗華って本当に(目利きであること以外)馬鹿というか、あらゆることを(断片的な情報と強い思い込みで筋が通るように無理無理)ゆがめて理解することしかできない人なんだなと思った
ただ、麗華も大概なんだけど、
静流「いや、あの娘もね。そんなに性格悪くはないんだよ。少し、強情というか頑固というか……」
麗華を友達だからって庇う静流の無理筋感の方が痛いかも(麗華のクズ言動は無意識で、静流のそれは意識的という前提で)
但し(後で明らかになることだが)麗華は静流がリモージュで焼き上げた"贋作"雪景鵲図花瓶について、その素性(静流が作ったものであること、弓張釉薬が用いられていることまで)を完璧に見抜いていてあの行動を取っている。麗華も麗華で、中村家の駒としてしか動けない中(彼女もまた家柄の犠牲者)で自分の人生(というか彼女の場合「人格」)を美に捧げた一人だったりする。そして狂気の度合いは恩田放哉の方が上だろう。
・恩田家(寧、霧乃(寧母))との関係
それまで他人にしてきた仕打ちが全て降り掛かってくるような環境(自業自得と言ってしまえばそれまでだけど)に移ってもなお美に対し忠実である麗華。
心が弱く、男を見る目のかけらもない恩田寧の母。麗華も麗華で、章一も章一でクズ中のクズばかりだけれど、恩田母も結局のところクズな気が。章一や麗華の被害者っぽくもあるけれど心が弱いというか依存症っぽくて、どうしても全面的に庇える感じではない。
寧も寧で、恩田の家系、宮崎破戒の血を引く自分こそ宮崎破戒の弟子としてふさわしいみたいな(狂信的な)血統主義に陥っているところを見るに、麗華と全く変わらない、というか麗華の劣化コピーにすら思えた。
(自分の目を潰すような脅しをしてまで直哉に言うこと聞かせようとしたり、こいつ本当クズだなと寧に対して思った)
それが寧たち(寧の母も麗華も)の「戦い方」だったに違いないけれど、守りたかったものは何なんだろう(なにがしたいねん)
第II章
「今話題の美人芸術家先生」「ブルバギの」「色物」長山香奈。
自分は偽物、凡人にすぎないと自嘲する彼女だけれど、彼女には彼女の、鋭く本質を見抜く目(と洞察力)がある
「でもね。穢す事こそが、私の芸術だったのよ」「この壁画は穢されなければならなかった」
「なんでだよ」
「偽りの名がついた草薙直哉の作品なんていらないわ」「反吐が出る」
これね、「直哉への屈折した愛情」と見るとものすごく腑に落ちる
「綺麗ですね」
「穢された櫻が再び咲く」
「まるでこの櫻は、咲く刻(とき)を知っているかの様に」
「決まった周期で」
「みずからが咲く。 櫻ノ刻(さくらのとき)をきざむ」
ここでタイトル回収か
「偽りの美」。「本物と偽物」という軸と関係ないところに「美」はあるのだろう
美にまつわる物語が愛されるみたいな話があちこちに出てくるし、本物とか偽物とかいうのもそうした「物語」の一片でしかないのかも
新生弓張美術部(桜子・奈津子・鈴菜・ルリヲ・寧・ノノ未)の誰も直哉と「そういう関係」にならないのがちょっとだけ残念
ちょっとだけ
この中で個人的に好きなのはルリヲとノノ未(多分声が好き。名前がカタカナだからではなく)
桜子はビジュアル的には好きだけどちょっと稟とかぶってる感じ
とは言っても、あれはトーマスという規格外なアホがいたからでもあり、明石という規格外のバカがいたからでもある。
アホとバカの使い分けが多分関東風
藍「ほらほら、いつまでそんなところで立っている。食事にしようよ。 あれ? それともお風呂が先だったか?」
直哉「そのまま、それとも私? とでも続きそうな流れだな」
藍「私にするか?」
直哉「ご冗談を」
藍「即答というのも傷つくなぁ」
直哉「なに言ってるんだよ。せまればせまるで、怒るくせにぃ」
藍「だって、直哉は冗談でそういう事するんだもの。私だって怒る」
この流れちょっと切ない
お互いに大事なんだけど(それ故に)お互いに距離を取ろうとして、計りかねて、結果としてのこの距離感
冗談という体で距離を(性的な意味で)詰めていく優美(と里奈)と対照的(というか似てなくもないというか)
「あとな、寝ているから言うけどーー別に俺の時は止まってねぇよ。藍がいてくれるんだからさ」「俺は、お前と生活出来るこの暮らしが気に入っている」「だから、見送るとか、言わないでくれよ……」
すこ
夏目屋敷を訪れた桜子とのオナニー談義がコメディパートというか
藍に聞かれてて
「あと……なんだ。その……」「そこにある道具というのは、自分でいたすのに便利なモノなのだろ? 捨てる必要はないと思うゾ?」
「え? こ、これ? いや、こ、これは……」
「なんというかなぁ。私だって人間だ。全然経験はないが」「それでも、私にだって性欲はある。人並みにだぞ」「だから……お互いがお互いだし、なんだ、その……き、気にするな」「気にしなくて全然ダイジョウブだからな。 捨てたりしないで、全然ツカッテもらってかまわないのだからな」
うける
藍さんの部屋とかゲーム機が沢山転がってる印象しかないけど、彼女は(人並みのそれを)どう解消してるんだろ
table:雅号一覧
圭 (K →)夏目圭
心鈴 宮崎みすゞ
寧 宮崎寧
ルリヲ ア・ロウアワーキウイ A Low Hour Kiwi
里奈 (後述)
寧の絵を"凡庸"だと切り捨てる直哉
なんでそんなに寧(の絵)に対してそこまで厳しいんだろう?と思ったけど、
才能が透けて見えるというか、技術に溺れていて絵としては見る所がないみたいなのを(一瞬で見切って)そう表現したのか
本間心鈴襲来
心鈴(つぶやき)「SiO2半分近く、Al2O3、Fe2O3・・・典型的なキブシ(木節)粘土に思えるけど、どこか微妙に違う」
つぶやいてる文言は表示されてなかった(のでこれは聞き取れたセリフ)
土をなめて成分を見極めるのってすごいな(原理的にはわからなくもないけど、そういうものなの?)
桜子の告白を断る直哉
(ルリヲと鈴菜が直哉に同じものを同じように見ながらも、二人がちょっと違う視点になってる感じが好き)
ルリヲ
「ま、ルリヲには草薙ちゃんの気持ちが少し分かるよ」「芸術家ってヤツは、いつでも溢れる感情で埋め尽くされている」「両手が塞がっちゃうほどの感情を持つ者にとって、誰かの想いなんて新しく持てない……」「そう普通の人は思う」「けど、それは嘘でさ。 それすら呑み込んでしまうのが芸術なんだよ」「芸術家はあらゆる想いを呑み込んで、美として昇華する」
「でもさ、もし草薙ちゃんが芸術家ではなく一教師として生きていくのなら、新しい想いを受け取るのもいいんじゃねぇの?」
鈴菜
「私は、草薙様という人間を幼い頃から見てきました」「そして、多くの人間が彼によって救われたのだろうと感じています……」「あの人はとても優しいけれども……だけど、まるでブラックホールの様な恐ろしさもあるのです……」「一度、心を捕まえられたら、二度と逃げる事が出来ない……」「いいえ、たぶん、それが芸術の本性なのだと思います。 芸術は、そんな想いすらも呑み込んで、美に昇華してしまう……」「だから、美を連れている芸術家に、その想いを打ち明ける事は避けなければならない……」
これね
すごく刺さるんだよな(そして美と狂気は紙一重に思える)
ルリヲ「みんなで手つなぎません?」
直哉「なんで?」
ルリヲ「なんとなく」
鈴奈「ぎゅっ」
鈴奈が俺の手を握る。
ルリヲ「ず、ずるいっ」
桜子「だったら、先生のもう片方の手はルリヲちゃんが」
ルリヲ「いいのですか?」
桜子「場所的にね。それよりみんな手をつなごう」
俺達は圭の絵の前で手をつないだ。
なるほど、こういう歩き出し方もあるよな。
俺はこいつらと、そしてまだ見ぬ生徒達と、教師として歩き出す。
こういうの涙でる
「圭」
「俺は、その先にいくよ」
歩き出す直哉(と仲間たち)。あの日からずっと止まっていた刻が動き出す。
ここでLunaさんOP「刻ト詩」
第III章 - Night on Bald Mountain(ムソルグスキーの交響詩;「禿山の一夜」)
心鈴ルート
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夏和小ボイスでこれ反則なんですけど
「はい、私は気むずかしい性格なのですぐスネます」
「気むずかしい?」
「もちろん気むずかしいです。それはまるで、猫の方の様に気むずかしいです」
心鈴は「猫の方」とか「猫の人」とかよく言うね
猫という種族に対する何か敬意のようなものがあるのか
直哉「お前ぐらいの年齢の時には、圭は絵画で家が建つくらいは稼いでたと思うよ」
ルリヲ「や、やっぱり家が建つんだ……」
直哉「賞金だけじゃなくて個展とかも含めてだよ」
圭ってその稼いだ金どうしたんだろう?何に使ったのかな(圭が羽振り良さそうにしてる描写なんてどこにもなかったよね)
→ ちゃんとその後で分かった(中村章一との間で、自分の自由を6000万円で買い戻すような契約をする。6000万円出したら出したで章一は倍額に吊り上げてくるが。紗希も絡んできて圭の絵を1億で買い取って収まった。確かに圭は、自分の力で中村の家を出ていくみたいな事を何度か言ってたが)
「はぁ、君みたいな若い子だと思わなかったよ……。宮崎破戒最後の弟子と呼ばれたあの宮崎みすゞが……」
心鈴が「みすず」とパッと読めないことも手伝ってか、心鈴=「みすゞ」が予想できてなかった
「夏目家にいる時点で何かしらの事情があると思ってはいたのですが、まさか校長があの圭を育てていたなんて、意外すぎます」
「それほど意外か?流れとしてはそれなりに必然的だと思うが」
「いいえそういう意味ではなく、なんと言いますか……。校長ほどの人が、どう失敗したらあんなバカを育ててしまったのかと」
「あのなぁ……君は産みの母と育ての母の前で大層なひどい事を言うなぁ」
「あ、いや、すみません。恩田さん、そういう意味ではないのです……」
「いいえ、大丈夫です。あの子が勉強が全然出来なかったという話は、紗希様から聞いてますから……」
「霧乃さんに対しては謝っても、私には謝らないのだなぁ。草薙先生」
「いや、だって、校長は教育者でしょ? だったら何故、あそこまで社会常識がない子に育ってしまったのですか? 普通に教育者として問題でしょう」
「少なくとも、私のもとにいた当初は、圭の学校の成績は悪くなかった。いや、むしろ良いぐらいだったよ。真琴と比べても遜色ないぐらいにな」
こういう形でも圭の幼少期に触れられる会話シーン好き
里奈お姉さま、在学中にフランスでリトグラフを学んで帰り、「踊り場」で作業した?という辺りの謎
校長経由で500万で買い取る話(どこの誰が?)
ていうか紗希めちゃくちゃ金持ってるな(目利きの美術商としての才、切れ者の策士としての才、まあ金なんてどうにでもなるんだろうな)
長山香奈を見て(そこそこ美人だからって)おべっかを使い直哉より香奈を立てようとする片貝、ほんと格好悪いと思う
(そういうとこだぞ、ってこういう時に使うで合ってる?)
片貝みたいな奴が混ざると男女関係(のみならず人間関係)おかしくなるから嫌いなんだよな
(後でも出てくる)トーマスとかの方が(あれはあれで狂気だけど)潔さを感じる
そもそも直哉を飲みに誘うのも強引だし
(この作品に出てくる人物どもよ、寂しさを動機とすればあらゆる横暴が許されると思ってないか?)
「ですが、草薙さんは一つ大間違いをしています。現在、学者によって認められた四色型色覚の画家の絵が驚くべきものではないとして、だからと言って、それが四色型色覚の優位性を否定するものではありません」
今作の長山香奈、すごくまともだし知的に感じる(どしたの?)
あぶり出しても誰も幸福にはならない真実をあぶり出してしまいそうな所、という点は変わってないか
寧「あの人は圭兄さんを殺した人です!!」
ちょっと前にキマイラで出会った寧母もそうだけど、麗華とか本間家が絡むとヒステリックに(というか彼女らも麗華に)なってしまうの
麗華に対しての反応と思うとあまりにも正当なんだけど
心鈴に対してはどうなのよ
圭の話どういうことなの
猫になついてもらえない夏和小さんキャラに既視感(結城希亜(9-nine-)か)
猫を懐柔しようとして傷だらけになる心鈴。さっきの場面でいえば寧が猫にあたるのか。
「人心掌握といいますか……。心理学でマニピュレーターというらしいですけど」「何それ?」「人を支配して、自分の思い通りに動かす力に長けた人間ですよ。世間じゃサイコパスなんていわれ方もしますけど」
「サイコパスというわけではないのですよ。ただ、やはり他人を支配しなければ気が済まないといいますか……」
(心鈴の母親評)
なるほど「他人を支配しなければ気が済まない」か。サイコパスとちょっと違うのもなんとなく分かる
(もしも麗華がサイコパスだったらあんなヒステリックで馬鹿な人に思われるような振舞いはしないのでは?長山香奈とかの方がはるかにサイコパスに近いように思う。鳥谷紗希も(静流も言うように)他人を支配しなければ気が済まないお人かもしれないけれどサイコパスかというと違うような)
静流が心鈴に麗華のモノマネさせるくだり好き
心鈴「納得していただかなくてもいいのです。ただ約束してください。恩田寧さんの前で私を擁護する様な発言はしないでください」「先生にまで、彼女は心を閉ざしてしまうかもしれません」
「彼女は優しい娘さんだと思います。だとしても、私に関する事に関してはダメです。優しい彼女ではいられなくなります」
これ、寧の心情を慮ってというか、麗華や寧のような怒りすぎて狂った状態に陥ってしまった者たちへの心鈴の対処法なのかなと思った。麗華の娘として生きてきた中で習得した処世術というか。
"不注意でトラックに轢かれそうになって、兄に助けられた(ひきかえに兄は死んだ)"(ということに寧の中ではなっている)心鈴のことを悪く思うなとは言わないが、一族ごちゃまぜにしすぎ
それから、後で出てくるけどあれを「不注意」と斬るのは乱暴だ
(なんなら心鈴を後ろから車道に押したのが寧だった可能性を否定できない)
でもまあ(本編描写で)麗華も長男もクソofクソだっただけに、恩田家でそういう事になっていたとしてもどうしようもないのかもしれない
そして恩田放哉劇場...
放哉が「スキャンダラス」を名詞として用いているのは何?
「だけどね。ボクや破戒の様に、圭をずっと見ていたとしたら、そうとも言い切れなくなるんだよ」
「『美』という魔物に魅入られたが故に、圭は死んだ」「そう考えている」
・・・
「けど、それとあの事故とは直接関係ありません。作品を提出してからかなりの時間があったし、そもそも俺はあいつがバイクで出る前に会っているが、いつも通りだった」
・・・
「君が、どう考えているか、など、知らんよ」「事実として、圭は『美』によって殺されたのだよ」
「そんな、理不尽な事はないでしょう」
「理不尽ねぇ。君が言うと、なんとも寒々しい言葉に聞こえるじゃないか」
放哉の美に対する強い信念というか執念が、事実の解釈を歪ませている
とはいえ(放哉の「理不尽」への指摘のとおり)直哉の視点が健常なものであるとも言い難い
「その場合、圭は、子供を殺したペトゥローですか?それとも、優しき少年イワーシですか?」
「そこだよ。草薙直哉先生。君はどれだと思うかね?」
「どちらとも想いません。圭はそんなヤツじゃなかった。絵に対してそんな態度で向き合わなかった」
・・・
「あいつならば、妖女の囁きだろうが、悪魔の囁きだろうが、天使の囁きだろうが、すべて無視して、自分の力だけで、掘り進めて! そして財宝を手に入れただろう!」「あんたのそれは!! ばかばかしいたとえ話だ!!」
「は?」
「はぁ……」「何も知らぬくせに……」 「私は、圭は、ペトゥローであり、イワーシである、と考えている」「財宝を欲した者は、もっともやさしき者。つまり自分自身を化け物への生け贄とした。そう言えば、理解してもらえるかな?」
いやいやいや無茶苦茶だよ放哉くん
ただ、ここに関しては
「姪にはこれ以上、このおぞましい世界に関わらせない」
「お前らの様な化物達に惑わされるのは、私達で終わりにしたい」
なんか裏返って放哉が言ってることがまともに思えてきた…
「ペトゥローであり、イワーシである」、"自分が動けばタダ"みたいな考えの自転車操業零細企業みたいなのも該当するだろうし、芸術家がそうではないとは到底いえない
なので芸術家が「自分の命との"等価交換"で芸術を得ようとする輩」であるとするような見方を一概には否定できないなあ
芸術家が美に文字通り「命をかけている」のはその通りなのだろうし、それが原因で(結果としての不摂生から)命を落としたとして、それを「『美』によって殺されたのだ」と表現する事自体、文法的な(事故死をkilled by ...で表すような)ひとつの形式にすぎないようにも思えるし、放哉は"身内の"圭や寧に対して「いのちだいじに」と願っているだけにも思える。
心鈴くんが俺を強く抱きしめる。
ただ、ひたすら、力任せに俺を抱きしめる。
小さな心鈴くんだから耐えられるが、普通の意味での抱き合うという力ではない。
ああ、人の抱きしめ方すら分からないほどに、愛情を受けてこなかったし、愛情を表現する事が出来なかったのだなと思った。
こういう角度からの描写好き
寧が(勝負に負けて、直哉の言うことを聞くということで)心鈴(みすゞ)に三週間師事させられるくだり好き
寧「え? 描くため? 絵描くのにその様なものが必要なのですか?」
心鈴「当然です。哲学なき絵画など、単なるイラストです」
・・・
「絵は感性で描く、自分が思った世界を好きな様に形にするのが芸術」「なんて、思ってるのは日本人だけだよ。日本の画家が世界に通用しないのは、恩田くんが言う様な考え方が支配的だからだ」
「日本独特な感覚で描かれる絵画を、私小説的(わたくししょうせつてき)な絵画と言ったりする」
「私小説的という形式はかなり日本独特なもので、海外ではあまりウケない。事実、世界中の文学で私小説的の形式は主流ではない」
話は伝わるけど「私小説的の形式」って変な言い方に聞こえるな……(誤字?)
「絵が私小説的なのですか?」
「ああ、日本の多くの画家が持っている芸術的世界観というのは私小説的なんだよ。経験重視というか心境重視に描くべきという風潮が強い」
「絵画って、経験とか心境で描くものだと思ってました」
「もちろんそれらも大事だが、西洋絵画をやるのであれば、それだけではダメだ。絶対的な教養に裏付けられた思想なり哲学がなければならない」
絵画にかぎらず、昨今の日本って哲学とか世界観とか教養とかの裏打ちを軽視というか忌避しがちじゃないかな。
「あとはタイミングだけだったのです。強固なまでに縛り付けてきた、技術という足枷、それが外れる瞬間」
「この異常とも言える過酷な強化合宿には、その鎖を断ち切るという意味があったのです」
・・・
「あの夏目圭と同じ血を引く者」
「私からしたら、それだけでうらやむほどの才能です」
「だからこそ、開花させてみたかった」
才能が透けて見える、というか才能をアピールするだけの絵画から脱したときに寧の筆が「化ける」ことに心鈴は(おそらく直哉も)全てを賭けてきたね
などと思っていたが、師匠には。
「芸術家の仕事とは、奇跡を生み出すことです。奇跡的だと思われるものが、いつでも降り立つ準備だけはしておいてください」
と言われた。
(健一郎?)← 圭 ← 心鈴 ← 寧 の師弟チェーンが面白いな
A Raw Hour Kiwi ←→ Hikawa Ruriwo
このアナグラム気づかなかった…
ルリオじゃなくてルリ「ヲ」なのってこのアナグラムを成立させるための伏線だったりする?
「私を見つけてくれた一人目。 師匠は、迷子になってしまった世界でも、まっすぐに歩ける事を教えてくれた」
「私を見つけてくれた二人目。 意地悪な芸術家は世界を照らし、私が思っていたよりも世界はいろいろなもの、たのしくて、うれしいものに溢れている事を教えてくれました」
「揺らがない事に定評があった私ですが、意地悪な芸術家の前では、揺らぎまくりです」
「うれしい事で、そわそわして落ち着きません。なにもかもがブレブレになります」
「意地悪な芸術家」
心鈴「破戒先生も遅まきながら寧さんの絵を直に見られたのでしょうね」
寧「そんな事を放哉先生に言われました。私の絵を見て"こんな下手くそな絵がFIRST展最高賞として今後の画壇を象徴する若手となるのは耐えられん、放哉、お前がこいつをどうにかしろ"って言われたそうです」
ツンデレかよ
心鈴「生前の夏目圭の写真を見る人は、誰もかもが女の子にしか見えないと言います」
直哉「だから! 三次元と二次元は違うの! ファンタジーだからいいの!」
「ですが、夏目圭はファンタジーレベルで女性に見えたと、放哉先生が言ってました! だったら夏目圭はアリなのではないですか?」
・・・
「とりあえず、草薙先生は、巨乳好きで? ロリコン好きで? 男色家なのですか?」
ロリコン好きかは知らんけど、男色家なのって直哉じゃなくて放哉なんだよね
「巨乳で、ロリで、男性器が付いていて、さらに人妻のレズビアンなのですが、その女性は母乳も出てさらにお漏らしする。そんな状態で性的な興奮を覚えるのでしょうか……」
・・・
「人妻でレズビアンがふたなりだったら、もう百合でもなんでもねぇよ!」
「そうなのですか?」
「いや、百合でふたなりはアリかナシかは、実はネットなどで長い宗教論争を引き起こしている案件である事は認める。
だがな! 俺はなぁ! 俺はそういうのは!!」
「草薙先生的には?」
「ふたなりの百合はアリだな!」
「だったら問題ないんじゃないでしょうか?」
・・・
「草薙先生的には?」
「マンション若妻百合はありだな!」
「だったら問題ないんじゃないでしょうか?」
コメディパートきた
心鈴「母はいつになく真面目な顔でいいました」
「私の手元に、一度だけ本物の芸術家がいた事がある。
その芸術家は、すべての苦痛をまるで観察対象の様に、自然な事として捉えていた」
・・・
「私がイラついているのは、この芸術家が本物であるからだ」
「本物で囲まれた自分の生活の中で、ただ一つだけまがい物があった」
「それが自分であった」
麗華さん視点の話。
これちょっと泣きそう
ここまで追い詰められた環境にいたら辛いよな
麗華の人格(というか人間性というか)が「壊れてる」ことの免罪符にはならないとはいえ
直哉の告白に対して
心鈴「……ん?」
「はへぇ?」
「いや、すまん。変な事を言ったな」
「先ほども言いました!
手は放さないでください!
次、手を勝手に放したら怒りますから!」
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「だけど、あなたが私を見つけてくれた時」
「あなたと交差してしまった時」
「あまりに世界は眩く光りはじめてしまった」
「世界は交流電燈の光で満たされて、私の鋭敏な視覚を奪ってしまった」
「いままで見た事もない、あらゆる感情が沸き上がった」
「その環状の渦に、私は、再び、迷いそうになった」
この詩的な感じ(サクラノシリーズの主題でもあるよね)ちょっと好き
そいえば本作では「光り」ではなくて「光」って書かれているね
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「ひ、卑怯者!」 「もう、知りませんよ! 私、草薙さん無しで生きられないですからね!!」 「後戻り出来ませんよ!!」
「するつもりなんてない」
「バカ、バカ、バカ! 卑怯者! 泥棒!」
「泥棒って……」
「私から、独りで立つ力を奪ったんです。ひどい人です」
泥棒って
「今度は私からいいでしょうか?」
「心鈴くんから?」
「はい、三つ目のお願いです」
「あ、ああ、そういえば最後の一つが残っていたな」
「最後のお願いは」
(ここで二人キスをする)
「最後の願いはーー次の一言です」
「ずっとあなたのそばにいさせてください」
あーーーー
CV夏和小さんのこのセリフお気に入り登録したい
静流「んで? どこまで進んだの?」
直哉「ぶっ!! げふぉ、げふぉっっ」
・・・
「いいえ、説明は後日にします」
「え? なんで!?」
「報告する順番があります」
「順番?」
「はい、大事な報告ですから」
「なるほどね。まぁ、その言葉がすべてを物語っているわけだけどね」
「だとしても、まだお話しは出来ません」
先に(家族である)藍に報告したいから静流に(正式に)話をするのはその後で、という流れ
直哉「案外、自分が一番自分の事を分かっていないのだからね」
静流「草薙直哉が父親にライバル心を持っている様にねぇ」
直哉「そんなもん持ってないですから」
心鈴「あるいは、静流さんが母の期待に応えた事を"裏切り"と言ってしまったり」
静流「いや、私は麗華の期待になんて応えてないし、それにそんな風にはっ」
ここのやりとり面白い
静流「ああ、ヤツに報告かー。ヤツは処女こじらせてるからにゃー」
直哉「静流さん! 言葉!」
静流さんも男の影が見えない人だけど
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「心鈴くんが上にいるから、抱かれる体勢ではないよね」
「なるほど、それでは言い直しましょう」
「今宵、私は直哉さんを抱きます」
サイドストーリー的な心佐夫くん(心鈴の兄)更生大作戦も悪くなかった
(けど話だけで、直哉が描いたワンドロとか見せてほしかったな)
心鈴が宮崎から破門にされる話(それも含めて茶番っぽい…)
「まぁ、賭けの負債は、寧の面倒を見てもらったから、それで良いのだけどね」
心鈴の才能は本間のゴリ押しでもなんでもなく実力なのだけれど
それにまつわる(というか乗っかるというか)本間礼次郎と宮崎破戒の共謀があってここまで来たのか?
共謀というより会社と株主の関係みたいなものなのか。芸術家とパトロンというのは
直哉「恩田くんには、そもそもの素養があったのですよ。
ただ、技術に溺れていた、それを使いこなそうとしなかった」
放哉「才人は技術ばかり目につくとは良く言ったものだ。
まさに、それまでの寧の絵がそれだった」
「私は、彼女がその地点から、決して跳躍出来ないと思っていた」
・・・
「あの娘が飛び出そうとした空。
走り出したかった世界の空」
「なるほど、私は彼女が思い描くそんな風景を想像してやる事も出来なかった」
放哉のこの辺りの語りが好きなんだけど
放哉の「更生」と言ってしまっても良いほどの変容
後半の絵画バトルの放哉はこれに気づく機会が無かった世界線の放哉だよね(寧の筆が化けることも同様に無く)
あの寧の絵を見て以来、再び自分の絵というものを描きたくなった」
「宮崎破戒が見たら激怒するだろう」
直哉「破戒先生はかなり強い熱意を持っている方ですからね……そんな楽しげな絵画など認めないかもしれません」
放哉「ああ、だが少なくとも、私は悪くないと思っている」
「一教師としての草薙直哉、そしてただの恋する少女、本間心鈴。
そういう茶番があっても良いだろうね」
直哉「え? そっちですか?」
茶番、か
その茶番は悪くない茶番
それよりも、少し気になったのだが……
恩田放哉、わりかしとんでもないカミングアウトをしていかなかったか?
今?
草薙健一郎を好きだった云々って……。
まぁ、深く考えるのはやめよう……。
ちゃんとツッコミ入れてくれてよかった……
礼次郎「草薙健一郎の事は、昔から君から聞いていた」「だが、私は彼に会わなかった」
「今になるとこんな風に思ったりする」「もしかしたら、宮崎破戒すら恐れぬ私が本能的に草薙健一郎に恐れを抱いていたのかもしれない」
「だからこそ、あの六相図を見たときに草薙健一郎に会おうと思った」
「彼の最後の瞬間だから、もっとも恐ろしい美の巨人と会わなければならないと思ったのだろう……」
「あの日の事は、忘れられない」
本間礼次郎が(死にかけの)草薙健一郎の病室を訪れ、初対面で意気投合するエピソード好き
贋作には贋作の真実が宿る。
その価値が時と場所によって大きく変わるのが真作との差なだけだ。
彼と私はそんな言葉を交わした……。
不思議と、彼とは昔からの知り合いであり、久しぶりに会ったという感じしか受けなかった。
だからこそ、今まで会わなかった事を不可解としながら、得心もした。
美とは不思議なものだ。
まったく会った事もない、知りもしない人間。
そんな人間と、美によって強くつながる事が出来る。
彼には、芸術としての美があり、私には悪徳としての美があった。
その二つは交わる事などあり得ない様に思えたがーー、
ーー不思議と交わる事が出来た。
美の本質は、「同意」する事でも「同調」する事でも「考えが同じ」事でもない。
どんな遠い存在とも、瞬時につながる事が出来るという事。
それこそ芸術の本性なのだ。
それが芸術であれ悪徳であれ、二人は「一流」だったんだなと思わせるね
娘さんの新しい制服姿を見ていかないのですか?」
「ふふふ、草薙直哉くんとは約束していてだね。
次に会うときは特別な時だと決めているのだよ」
「なるほど、怪人本間礼次郎氏もまた、一人の親でしかないと」
「そうだな。だが、あの娘を幸せにしないのであれば、私はいつでもあの男を再び奔らせるさ」「芸術という渦の中にね」
二人は歩き出し、弓張を後にした。
そんな夢浮坂を降りる二人を彼女は見ていた。
心鈴「……」
いい話
ここから心鈴ふたなり√
すかぢさんの趣味全開って感じだけど
心鈴さんが気持ちいいならもうそれでいいです…
(略)
kibou
ゲリラ豪雨に見舞われてお堂で雨宿りする真琴と直哉
粘膜接触は避けるとか言うけどそれ何の意味があるのと
真琴の気持ちは透けて見えるけれど、それは自傷行為のようにも見える(後の優美×直哉のあれと同様。あれも優美は唇から血を流してた)
幾望(月齢14)と既望(月齢16)の話
「望(もち)は満月の事。 既に望が過ぎた月の名もまた既望と言う」
「満月まであと少しの夜を幾望と呼び、すでに終わった満月の夜を既望と呼ぶ。その両方に対して希望を連想するには、私は年を取り過ぎたわ」
年取ったアピールするほどの年か?という気がしないでもなく(真琴と直哉は同い年なのだし)
静流を酔い潰し、静流が倉庫に隠し持っている陶芸作品を暴露するための
静流 vs 直哉のテキーラ対決は直哉先生が潰れて(トイレ直行)、
ここで紗希校長の参戦(うける)
アルコール度数96の(引火する)spiritusで
(藍まで煽られて参戦するがすぐに酔いつぶれる)
静流つぶれる
紗希は今回の悪巧み全部知ってたっぽいね
紗希「それにしても……さすが草薙の人間だな。根性はすごい」
「だが、今回ばかりは草薙直哉くんも痛感しただろう」
「生まれ持った才というものがどれだけ大きいか」
「アルコール対決と言えども、これだけの差がある」
・・・
「凡人が天才を追いかけると……やはりその先は破滅なのだろうか」
・・・
凡人にも実感しやすいたとえ話
直哉「しかし、あれだな?」
真琴「なに?」
直哉「死ぬ気で頑張っても、どうにかなるもんじゃないって実感した」
真琴「なに言ってるのよ。世の中そんなものばかりよ」
直哉「そうかもな。
けどさ、静流さんと校長の勝負見てて痛感した。
次元が違いすぎるって世の中にあるんだなぁって……」
真琴「お酒でそれを実感するなんて、草薙は本当に恵まれているわね……」
・・・
真琴「そして、いつしか気が付くのよ。
届かないから、それは憧れだったんだってねーー」
「手が届く目標は、は憧れではない」
「届かないと言って、泣いて、それでも欲しいもの……
それを人は、憧れと言う」
「多くの人がそんな形で"届かない場所”を実感する」
アルコールへの耐性は才能の喩え(というかアナロジーというか)でしかないかもしれないけど、それが他人の境遇の理解(というか類推)を助け、直哉が世界を(というか人間を)見る解像度が上がるのであればそれもまた良いのではないかと
ときに
真琴が(粘膜接触は避けつつ)直哉を射精させたがるのは何(どんな心境)なんだろう
麗華と静流を和解させようとしている(作戦行動中)
心鈴
「だから、私は今こそあなたが雪景鵲図花瓶を手に取る瞬間だと想いました」
「その花瓶を抱いて、そのままここの屋敷に閉じこもるのもいいでしょう」
「ですが、それを手にして、あなたが本来やるべき事、あなたが思い描いた事、あなたの夢に歩き出す事も出来るのです」
「それに対して必要な事など、もういくつもありません」
「あなたが、どれだけ美に対して誠実であるか。
美に対して勇敢であるかだけです」
麗華
「なんで、あなたはいつでもそうなのよ……」
「あなたは、私の娘でありながら、私が憧れたものをすべてもっている……」
「私が手に入れたかったものをすべて持っている……」
「絶対的な実力と、絶対的な自信、そして揺るがない美意識……」
「本間の跡継ぎになるハズの心佐夫は、私の弱い部分ばかり受け継いだ……」
「にもかかわらず、あなたは、私が憧れた自分がそのまま具現化した様な子だった」
「あなたは、私の子供として眩しすぎて……とてもずっと見てなどいられなかった」
麗華からしてみたら、心鈴との日々は「毎日が公開処刑」なのではと思った
麗華は麗華のやり方で、芸術家の理解者であり支援者なんだなあと思う。パトロン。
心鈴「宮崎みすゞは、あなたの勇気が作り上げた画家です」
そういうことなんだろう
「私は勇敢でない芸術家を嫌います。
勇敢でない批評家も嫌います」
「あなた達の心意気を見せてください」
麗華だけでなく静流にも突きつけてるんだよね
弓張釉薬の(失敗作の)指輪で直哉が真琴に実質プロポーズ
直哉「だからさ、俺と一緒に、お前の薬指に合うヤツを一緒に作ってくれないか?」
真琴「なによそれ」
直哉「そのままの意味だが? お前の指輪を作るの手伝ってくれ」
真琴「薬指ってどういう意味で言ってるのかしら」
・・・
「だからさ、私ーー」「その中で一番大好きだったものを失うのが怖いの」
「私が大好きだった草薙がいなくなったら、私、私耐えられないーー」
「なに言ってるんだよ。俺はここにいるし」
「でも、でも、それは、私がちゃんと距離を取っているからでーー、たぶん、昔みたいに考え無しで、大切なものを手に入れようとすると、また失ってしまうーー」
距離を取ってるからなんとか失わずに済んでいる、みたいなやつ(本当か?)
「考え無しで」大切なものを手に入れようとしたから失ったわけじゃないのでは
大切なものを手に入れたくても、考えがあろうがなかろうが、失うときは失うだろ
人には適切な距離というものがあるのだろうけれど、真琴のこれは直哉に甘えてる(甘えたい)ように思えるし
優美が里奈にするいたずらのような(ポプ子がピピ美に「えいえい、怒った?」するような)、渡る前に石橋を叩いているようなことを延々と続けているような
別にその好きに理由なんてなくてもいいけど、直哉はそんな真琴の(真琴との関係の)中に何を感じてたんだろう
「ばか……」
「なんだよ」
「うるさい!」
「大好き!」
「ああ」
「うるさい! だまって聞け!」
「ああ」
「私は草薙が大好き!」
「ああ」
「草薙直哉が大好きで大好きで仕方が無い!」
「ああ」
やっぱり鳥谷はこういうところが可愛くて好きだな(前作でもそう思った)
かつて稟と交わした「強き神」「弱き神」の話。
分かりづらいところなので、整理してもらえるのはありがたい
table:強き神と弱き神
弱き神 世界の限界を越える絵画 芸術とは”立つ”という行為であり、その足がつく場所こそが”大地”
何も約束されていない。ありもしないかもしれない土地を目指す行為
強き神 世界の限界を超える必要などない 視点は極めて超越的であり完全。天上にいる様なもので”大地”など必要ない
そもそも限界など存在せず、あるものは約束された『美』のみ。ただ約束された道を目指せばいい
寧が(直哉を)脅してまで挑む心鈴との絵画対決(二回目というのははるか昔のデッサン勝負が一回目なんだっけ?)
なんというか、ただただ、寧も寧でクズだな
麗華や心佐夫が壊してしまったというだけで説明がつかないかもしれない頭のおかしさというか
ていうか人の話を聞かずに思い込みで自分だけ話すところとか、麗華の真の継承者とすら思える
夏目圭の妹、宮崎破戒の孫という血統主義から来る心鈴への見下し方も、麗華と何ひとつ変わらないではないか
(キャラクター造形的には綺麗にかわいく作られているけれど)この女性は、醜い。
ほんとうに、醜い。
この作品、寧をそこまでの(醜い)狂気に奔らせた運命というものをよく描いているよな(Les Misérablesのようだと思う)
第IV章 Mon panache!
// C'est mon panache. それはあ私の心意気だ
// エドモン・ロスタン作の英雄喜劇『シラノ・ド・ベルジュラック』の終幕で主人公のシラノが息絶える最後の言葉が「mon panache !」
この章では、圭の人生がどのようなものであったか(走馬灯のように)語られている
中村家(の離れ)時代、夏目屋敷で草薙健一郎と過ごした一週間、心鈴との出会い、直哉との出会い。
そして心鈴を助けるために自らを犠牲にした最期。
藍「自由をはき違えるな。
自由とは、無差別に自分をいじめぬく事ではないぞ」
「自由をはき違えるな」という言葉にはどうしてか分からない嫌悪感のあるのだけれど、藍のそれには愛情のようなものを感じる
言った人が何を「自由」を思っているか、自由をどう感じているか、自由への恐怖をどう扱っているかに強く依存する言葉だからか
それは結局のところ、前に心鈴が言ってた
「あなたが、どれだけ美に対して誠実であるか。
美に対して勇敢であるかだけです」
っていう話の「美」を「自由」に置き換えたものか
だから、藍の言葉の「自由」を「美」に戻してみても通じる
「美をはき違えるな。
美とは、無差別に自分をいじめぬく事ではないぞ」
What is mind ? / No matter. - 心って何だよ?(物質ではない)どうでもいいだろ
What is matter? / Never mind. - 物質って何だよ?(決して心ではない)まぁ、気にするなよ
この”言葉遊び”はサクラノ詩でも出てきたけど、なんか繰り返されれば繰り返されるほど陳腐な引用に感じてる
健一郎が(あの調子で)言うからかな
(言葉遊びを説明しすぎてるように感じるからかも)
健一郎のセリフの安っぽい響きは、一流のペテン師を演じているからなのかと好意的に解釈してもいるけれど、それでも露骨に安っぽい。
「だが、多くの人間が、そもそも記憶になければ過去の自分など、他人と変わらないという風に思っている」
「これってけっこう凄いよな」
「俺の感覚だと、記憶の有無にかかわらず、自分の肉体がどこかの誰かになっていたとしてそれはやはり”俺”だと思っている」
「だが、ほとんどの人間は、記憶にないのならば、同一の有機体である過去の自分自身ですら、赤の他人同然とみなしている」
「これは正反対みたいに見えるが、言ってる事は同じだ」
「自分という存在は、瞬間瞬間で明滅する現象であり、
それは記憶によって同一性を保っているだけである。
だから、自分であるという記憶がなければ自己の同一性は崩れ去る」
「つまり、過去の自分は他人だし、未来の自分も他人だ。
ほぼ、違う肉体の他人と同じ扱いだ」
「その差を埋めるのは、”記憶”ってわけだな」
「記憶に連続性がなければ……過去の自分は他人と同じ……」
「哲学者が問題にし続けていた『自他問題』という難問は、そもそもその前提である”自分”という感覚からして個々人によってその境界線が違う」
ですよねー(この章の話がたまに意味わかんない事言ってるように聞こえる原因でもありそう)
「重々帝網なるを即身と名づく」
「なんですか? それ?」
「無限に続く神の天井は輝く網で飾られている。その網の結び目の一つ一つには球体の鏡が吊るされている」
「それぞれの球鏡は、それぞれ反射しあい、それぞれを映し合う」
「この一つ一つがそれぞれの世界だ」
「世界は一つの閉じた形をしている様でありながら、実際は無限の反射によって現象が生まれ続ける」
「それが自我という事ですか?」
「そういう事だ」
「即身の意味は?」
「世界をその様にみる事が出来たら、無限の先で、仏が持つ真理すらも、自らの鏡の中にあると気が付く」
ここすき
帝網というのはインドラの網(因陀羅網)と言われるやつか
喜怒哀楽すべてを愛せ。
・・・
たしかに苦しみは芸術において重要な過程だが、それだけでは駄目だ。
芸術を知るには、すべての感情を愛さなければならない。
・・・
旨い飯食って、しっかりと寝ろ。
健一郎と圭の夏目屋敷での日々
これめちゃくちゃ憧れるな
絵を描きたいとは思ってないけど
こうやって友達みたいに語り合える師弟みたいな関係
心鈴との出会い。
(今さらだけど、ムーア展の授賞式に向かう道で圭が心鈴を助けて命を落とすの、偶然でもなんでもなくて心鈴だと分かった上で助けたのかなと、この辺りで予感する)
実はさ。
世界なんて、もう、どうでもいいんだよ。
俺は、俺の限界を超えて、その先にある真実を掴んだ。
・・・
だけど、俺は、こう思うんだよ。
世界を正しく見る視線があるとしたら、一つは俺の視点で、
もう一つは、お前の視線だ。
『二本の向日葵』には二つの交差する視線があるんだ。
夏目圭という視点。
そして、草薙直哉という視線。
それにこそ意味があり意義があるんだ。
(圭のほうが視”点"なのは何か意味があってのことなのか)
圭、ムーア公募展に送る前の『蝶を夢む』を見る機会が(偶然)あったんだな
(それがラストチャンスなのでは)
ここで思うけど
(草薙健一郎の病室のシーンは真っ暗だし)
(二人の絵だけが鮮やかに蘇る)
これは圭の人生の走馬灯なのか?
心鈴は(不注意じゃなくて)背後から誰かに突き飛ばされて車道に出てしまったのか
(圭が「あのガキども」って言ってるから子供なんだろうけど)
「そうだな。 簡単に言えばさ」
「簡単じゃなくて、丁寧に教えてください!」「もっと、もっと、時間をかけて、丁寧に、私に教えてください!!」
「コップには何も満たされていなかった」「はい」
「だからこそ、俺たちはその器を満たそうとした」「はい」
「空の器を満たす様な芸術ーー」「はい」
「それがすべてだった」「はい」
「だけれども、今ではその器には満杯の幸福が詰まっている」「はい」
「それを人は、『美』と呼んだんだ」「はい」
「だったら、もう語る事は無い」「嫌です!」「無いんだよ」
「もっと聞かせてください!」「圭さん! 夏目圭さん!!」「私の師匠! 私を見つけてくれた、たった一人の芸術家」「私をおいていかないでください」「師匠!」
ここで第IV章ED「刻ト詩」(Luna)
泣いちゃうわ
第V章
直哉が辞表を差し出すが紗希は受け取れないね
「今日という日のために、君の休職届を既に用意してある」「君はこれにサインを書け」
・・・
「六相図と横たわる櫻は、君にとっては一つの終わりだったかもしれない」
「だが、我々にとっては始まりであった」
・・・
紗希「せっかくの賭場が消えてしまうのは、博打を望む者が喜ぶべきものではないさ」
「もちろん、その方が君にとって幸せであった事は間違いないさ」
「だがね。直哉くん。
賽は投げられたのだよ」
・・・
「今、私が言っている意味が分からなくてもいい」
「だが、私が言える事はこれだけだ」
「必ず帰ってこい」
「それがいつになっても構わない」
「いつになったって? いや、私がここを辞める理由はーー」
「うるさい黙れ。今は小僧の浅知恵の話などしていないんだよ!」
物語が大きく動き始める
//d'ou venons-nous? que sommes-nous? ou allons-nouns?
8桁の数字(16,xxx,xxxs)なんだろう
秒数のカウントダウンっぽいんだけど(5−6ヶ月分の)
中村章一を引き連れて宮崎絵画学校に出向いた直哉と放哉の会話
この辺りの(茶番)なんなの
出ていこうとする直哉、あわてる章一と放哉
章一が止めるのは分かるんだけど放哉の「ま、待ってくれ!!」はなんでなんだろう
(「章一」って呼び捨てで呼んでるところがちょっとウケる)
真っ黒に塗られたキャンバスに二輪の向日葵の絵
破戒にも放哉にも(心鈴にも)凡庸だと言われたこの作品、何か裏があるんじゃないかと思いながら見ているけど
(破戒をして圭を孤独に放置したことを後悔さしめる作品ではあったが)
どうなるんだろう?
(なんだろうこの根拠のない直哉への絶対の信頼感は)
御桜稟と入れ替わる様に名前が出てきたアメリカの新進気鋭の画家、アリア・ホー・インクって
"Aria Haw Ink" = "Hikawa Rina"のアナグラムか(A Raw Hour Kiwi的な)
心鈴「彼女は初期にアリア・ホー・インク・モーゾールと名乗っていた時期もあります」
直哉「アリアの初期の名前にあったモーゾールって、ゴッホが最後に過ごしたあの病院から取ったものなのか」
心鈴「はい、アリアにとって、そこが聖地だったのでしょう。
ですが、私にとっては、この弓張美術室こそ美の聖地ですよ」
都心のマンションで里奈を待ち続けて八年
優美「八年って? 下界ではそんなに時間が経っていたのか!?」
優美「逆、逆、世界情勢やら政治に詳しすぎるとカモになるんだよ。市場は現実世界の投影じゃない。市場という生き物なんだよ」
「それが分からないヤツはいつまで経っても負ける」
「意思決定において、二大天敵は"バイアス"と"ノイズ"だ。
世界情勢という意味世界は、バイアスとノイズの温床だから、
そこに答えを求めるヤツは必ず判断を誤らせる」
「世界情勢なんていらない情報に踊らされるヤツは市場で丸焦げにされる」
「まず自分の感性やらを信じない事だな。
よくさぁ、相場に対して勘とか虫の知らせで動くやついるじゃん。
あれは死に向かう超特急だね」
「まず構成要素に分解する事、構成要素ごとにありうる事象をYESとNOの二つに分けて考える」
「あと、自分の仮説を覆す情報を集める事だな」
「仮説を補強する情報ではなく? 覆す情報なのか?」
「仮説を補強する情報集めるヤツは自殺願望者だな。目隠しして首都高をアクセル全開で走っている様なもんだよ」
この辺の話好き(というか身につまされる)
「『二つの蝉の屍骸と絡み合う二つの冬虫夏草』か……」
薬品で直哉の体の自由を奪って口淫を試みる優美だったが
感覚が奪われている直哉は何も感じることがなく実質失敗に終わる
藍「そりゃ、お前から女の香りがしたら、乗りたくもなるさ」
「それこそなんでだよ?」
「なんでか?……それをお前は聞くのか?」
「本当に寂しい人間には、ハッピーエンドだけのお話は重すぎるんだよ」
「ハッピーなだけな物語は、私をおいてけぼりにする……」
「だからさ、幼い私には、もっとリアルなさわり心地がする物語のエンディングこそ安心できた」
「ハッピーな物語はさ。まるでハッピーな人生だけを肯定している様に聞こえる」
「ハッピーな人生だけが肯定されるのなら、私には耐えられなかったよ」
「本来ならば自暴自棄になって、どんな状態になったっておかしくない」
「それを、母親は自分の身体で諳んじた『春日狂想』によって縛ったんだよ」
「愛する人が死んでも、それでも生きろってさ……」
「そのつらさが耐えがたいものであるならば、奉仕の気持ちに逃げ込めばいいーー」
「実際、俺の筆はそういうものになった」
「誰かを救う事で、奉仕する事で、俺は俺のつらさから救われていた」
この数行ずつのモノローグで、(夏目家時代の)藍と直哉それぞれが抱えているものが語られてるような
「ではみなさん、
喜び過ぎず悲しみ過ぎず、
テムポ正しく、握手をしませう」
「つまり、我等に欠けてるものは、
実直なんぞと、心得まして」
「ハイ、ではみなさん、ハイ、ご一緒にーー
テムポ正しく、握手をしませう」
「まったく呪いみたいな言葉だ」
「奉仕の心ってヤツは、いつでも正しくないテンポで握手を強要してくる」
「なのに”正しく”なんて……まるで呪いじゃないか」
この狂気の描き方、本当に呪いだし狂ってて逆にちょっと好き
「だから分かったんだ」
「私がほしかったもの」
「私が失ってしまったもの」
「私の好きがなぜ、恋ではなかったか」
「藍がほしかったもの。失ったものってなんだったんだ?」
「私はさ、ただお母様とお父様がほしかっただけなんだ……」
藍の場合(不幸にも)それがはっきり自覚できるものだったのだけれど
こういうのってもっと無自覚に潜んでいることもあるような
「なんだ? 藍が誓ってほしい事って」
「私より長生きしてくれ」
・・・
「もう嫌なんだよ……」
「大好きな人の死を見送らなきゃいけないのがさ」
・・・
「ひでぇ約束だな」
「俺は置いてけぼりかよ」
「ああ、とりあえずお前は地上待機だ」
「私は、ずっとずっと天国の門の前で待っているさ」
「うれしくねぇ約束だ」
「でもさ、そしたらまた一緒に歩けるぞ」
「俺は今、お前と一緒に歩きたいよ」
雫
「少し気になっていた事があった」
「その後の私の貞操ですか?」
「それは気にしてないけど」
「気にしてあげてください!」
「雫の貞操はあいかわらず鉄壁でした!」
「そうか、それよりも」
「雫の処女膜にもう少し興味を持ってあげてください!」
「そんなセンシティブな話題をいきなりの再会でするのかよ?」
ムーア日本支部での(茶番)劇からの
ムーアの外での(ライブペインティングでの)品評会
・御桜稟(プラティヌ・エポラール返上)
・氷川里奈=アリア・ホー・インク
・本間心鈴=宮崎みすゞ
・草薙直哉
・あと長山香奈
鳥谷紗希、本間礼次郎、鳥谷真琴、明石亘
偶然を装った必然
印象派が生まれた時の話をなぞってるのかと思うぐらい放哉が印象派をこき下ろしたヤツのムーヴをしていて逆にすかっとする
藍「私から言いたい事を一言だけ言わせてくれるか?」
「え? あ、うん……」
「直哉、私を抱いてくれ」
それにしても
なんで藍先生だけすっぽんぽんで直哉は完全着衣なんだ?
(藍が直哉の体温を感じているなら直哉が服着てる絵と合わないような)
後半になって「それよりもなによりも」という強調フレーズがちらほら見られるんだけど
くどくない?(それよりなによりぐらいなら許容範囲だとして)
放哉「芸術が大衆化して久しいが、これほどの茶番が紛れ込んでくるとは甚だ遺憾だよ」
香奈「大衆化! 多くの人に芸術が愛される様になったのは素晴らしい時代ですよね。
茶番大歓迎! そういうのみんな大好きですものね!」
・・・
放哉「当たり前だ。これは美(カリス)の聖戦だ。
・・・
「人風情が、その場を穢す事など許されようもない」
「ましてや、おまえごとき凡人中の凡人が穢して良い聖戦ではない」
香奈「凡人中の凡人が穢して良い聖戦ではないですかぁ。なるほどー」
放哉ここまで来ると滑稽だな
長山香奈に出場辞退を迫るわ文展で口利きしてやると懐柔してくるわの恩田放哉
香奈は放哉に思いっきりみぞおち狙いでボディにフックを入れていた
「いや、そうじゃなくて、恩田先生気絶しているから」
「へ?」
フリッドマン「たとえば、草薙直哉」
「あぁ?」
「鈍感系主人公というのは本当に鈍感なのだな」
「あ゛ぁ? なに意味不明な事言い出している! 話を逸らすな」
「いや、逸らしているつもりはないのだが、さすがにこれは助言しておいた方が良いんじゃないかと思ってだな」
「助言?」
・・・
「画家先生には万全の状態で戦ってほしいのだよ」
「っ?」
この辺りはコメディだな
藍「直哉、私はちょっと忘れ物をした」
「忘れ物? 何を?」
「いいから、んじゃ!」
フリッドマン「さてと、残り時間も少ないのでこれで私も……」
「あぁそういえば、舞台袖の関係者の扉が少し開いていたな」
「扉?」
「っ!?」
里奈「あ、えっと……お、お久しぶりです。草薙先輩っっ」
直哉「え? あ、いや、もう先輩とかいう関係ではないよな」
里奈「え? あ、お、お兄ちゃん!?」
直哉「っ!? まだそんなネタを言うのかよ!!」
フリッドマン「作品の本質など、その作品に内在しているものではないさ。
芸術家はしばし、その様に考えがちだが、
作品そのものの中に真実など宿っていない」
「作品の価値は見られる事にある」
・・・
「作品とは見られる事によって、見る者を映し。
さらに見る者によって作品は映し出される」
有吉の「バカに見つかる」というやつに通じるものがあるような
里奈×優美√
優美「さぁ、私達の愛の巣に帰ろう」
里奈「あ……はい……」
優美「ただいまー」
「さぁ、冷えたでしょ? 家入ろうよ」
里奈「うん……」
里奈「っ」
あ、足が前に出ない。
思った以上に足が震えている。
優美「にぱっ」
そんな私の手を笑顔で優美が強く握りしめてくれる。
ここの優美と里奈が本当切なかわいい
里奈に対して絶対的に従順な優美を前に里奈は強気に見えるんだけど、里奈は震えてるし
里奈「私、優美、ごめん!」
里奈「あっ」
優美「問題ないよ。女ってヤツは、港みたいなもんでさ、女という船が帰ってくるのを待つもんなんだよねぇ」
里奈「優美……」
抱きしめられた事で分かる。
優美も震えていた。
自分の欲望に正直かつ強引に里奈に対しぐいぐい攻めるように見えるんだけど、優美も震えてるし
優美「草薙にあの絵を見せたらさ。あの絵は私のために描かれたって言ってたんだよ」
「草薙の言う事なんて大半信じられないけどさ……この言葉だけは、私信じてもいいのかな……って思ってさ」
「里奈、私全部許すし、そもそも私はあなたを勝手に待ってただけだしっ」
「だから、出て行くとか無しね」
・・・
里奈「そもそも、あれは私からの呪いだよ。あなたを私につなぎ止めておくための」
優美「草薙もそれ言ってた」
里奈「そうなんだ。 あのひとは、絵画に関しては本当に鋭いよね……」
優美「うん、だから少し安心出来た……」
里奈「そっか……」「ごめん。優美をここにつなぎ止めておいてまで、私は絵画の世界に身を投じたのに……草薙さんどころか御桜さんにすら届かなかった……」
「一度だけ聞きます」
「は、はい……」
「何かありましたか?」
・・・
「私が怒っているのは自暴自棄になって、自分の身体を汚そうとしたあなたです!! 川内野優美さん!」
この二人、本作に出てくるカップル(カップリング)の中で一番好きかもしれない
身体を限界まで(限界を超えて)酷使し、想像を絶する激痛が襲っているであろうにまだ直哉と戦う長山香奈
ここまで行くともう直哉を超えるヒーロー(ヒロイン)だよな香奈は
香奈は直哉と吹のプールでの絵画対決を見てるんだよね(審判を引き受けてた)
「はぁ……、すべてが終わったら、もっとうまく媚びれると思ったのになぁ」
「なんだって?」
「なんでもありませにょ。唐変木さん。とりあえず疲れたので人払いです。 出て行ってください」
「いや、もっと媚びてくれるって聞こえたけど?」
「聞こえてたんかい!!}
「ああ、俺、基本的に女性からの好意の言葉は聞き逃さない」
「そんな設定はじめて聞きました!」
「それは勉強不足だな。前作からずっとそうだ」
「前作ってなんだよ……」
「なんだろ?」
サクラノ詩?(メタな会話だな)
見舞いに来た直哉と香奈の会話とかコメディだな
香奈もあんなだけど本当直哉のことが好きなんだな(自分のことを見てほしくて極端なパフォーマンスに徹しているというか)
「ああ、ごめん。けどさ」「だからこそ」「あんな傷だらけになっても戦うお前を見たら、惚れたりもするよ」
・・・
「けど、悪くないですね……。ら、来世はまず私からですか」「だったらーー」
看護師「それではそろそろ」
フリッドマン「お前らしくないな。怪我人を弄ぶなど……」
直哉「そうだな」「けどさ、あいつとあんまり話していると……」「ちっとマジ惚れちまいそうでな」
フリッドマン「ほう……意外だな」
直哉「あんな高潔な精神を見せつけられて、それなのに、アイツ終わったらいつも通りあんなだからさ、ギャップが凄いよ」
「あれじゃ芸術家としてだけじゃなくて、人間的にも惚れてしまうかもしれない」
フリッドマン「それは、二号はいらないという事か?」
「まぁ、そういう事だな」
「ふっ、お前らは二代揃って生真面目なのだな」
健一郎と直哉のこういうところを「一途」と言うか「生真面目」と言うか
里奈「私がその花弁に触れた瞬間に……ある記憶が流れ込みました」
七影蝶か!
中村家の離れに飾られた圭の(健一郎から送り返された向日葵の)絵について麗華と話すくだり好き
中村麗華。
俺は彼女を少々あなどっていた様だ。
こいつはただの金持ちの道楽家ではない。
魂によって描かれた絵画という意味を、本来的な意味で理解している。
たぶん、あいつが筆をとる姿を見続けていたのだろう。
その稚拙な絵画と対峙したときに、無意識に。
やっと二人っきりになれた。
と口走っていた。
「圭……久しぶりだな」
・・・
「ここでお前が、はじめた様に」
「俺もここからはじめてーーそして最後にするよ」
最後にするというところが引っかかるが
「なんというか、あんた、言うほど悪人じゃないな」
「な、なによ! 舐めてるの!?」
「いや、そんな事ないさ。ただ、ちゃんと見ててくれたんだなって」
「見てた?」
「圭がここで命を削って絵を描いている時に、あんたはずっとその姿を見守っていたのだろ?」
・・・
「アンタは美の前で鬼にならなきゃいけない」
「画家が望むのであれば、その先に死があっても止めてはならない」
・・・
麗華「そうね。感謝しなさい。 地獄に付き合うのは、私みたいな女がちょうどいいのだから」
麗華も、彼らの美の世界において、ものすごく重要なポジションを担ったプレイヤーなんだよな
中村家からトーマスの車と藍のバイクで会場まで送り届けられる直哉
使用人「それと、トーマス様」
トーマス「なに? ザコ」
使用人「自称フランス人の分際で、イギリスの車乗り回してイキってんじゃねぇよ。似非フランス人が……ではいってらっしゃいませ」
会場に向かう間のトーマスの独白ちょっと好き
「本当に敗北出来るのは! 本気で挑んだニンゲンだけザンス!」
「誰もが、敗北のふりをする。けれども誰一人として本物の敗北を受け容れる事なんてない!」
「予防線を張った上での小規模な敗北程度しか受け容れられない!!」
「オマエの様に全力で敗北しつづける者などいない!! この全力敗北野郎!!」
・・・
「だが、ワイら普通のニンゲンは違う」
「いつでも戦う前に保険をかける」「本気にならない程度の敗北しか用意しない」
「だから! だから、ワイは貴様の様に本気で敗北出来るニンゲンが嫌いザマス!」
香奈とトーマスって(別々の方向に屈折してるけど)ちょっと似てるよなと思う
「長山香奈みたいに犯らせない美女と同じぐらい嫌い!」
「嫌いすぎる!」
それは逆恨みでは、と思うけどそういうオチを持ってくるところがトーマスらしい
トーマス
「だって、オマエを見てきたから!」
「明石と共にオマエの十年間を見てきたから!」
「弱いからこそ」
「卑怯だからこそ」
「卑屈だからこそ」
「ワイにも本物のヒーローが必要なんだ!」
// なんか泣きそう
トーマスと長山香奈は「描く」を(えがく)読みするね… 直哉ほか皆さん(かく)読みな中で浮き立ってる
トーマスの直哉への気持ちも、香奈の直哉への気持ちと同じぐらい「愛」だよねこれ
藍「私のマッハはあいつのセブンより小回りが効くぞ」
おい
バカしかいねえのかよwww
でも、まだ、お前に無限は早いよ。
神さまが、お前をどうするかって一度は考えてみろよ?
それが出来たら、今のお前がどういう意味で未完であるか分かるよ。
・・・
行けよ。ヒーロー。
奔れよ。ヒーロー。
お前は俺が信じたヒーローだ。
そして、俺はお前が信じたヒーローだ。
・・・
だってさ。
俺は夏目圭で。
お前は草薙直哉なんだからさ。
本作(サクラノ刻)は、はじめて直哉と圭が全力で、真剣に向き合えた物語なんだよな
そのために芸術家に限らず登場する人物すべてが(利害関係者も含め)暗躍し、奔走する物語
直哉と芸術、というよりも、直哉と圭という若き芸術家ツートップの真剣勝負の物語
圭は死んでしまって直接は向き合えないはずなんだけど、そんな事を微塵も感じさせない
VI章?「櫻ノ詩ト刻」ってあったような
この章はおまけ(というかエピローグ)だね
// 依瑠(える)ちゃんって何者?→ 直哉と藍の娘
「芸術とは、つまり、ただ祈りの様なものである。
美しくあって欲しいという気持ちでしかない」
「自分は、そんな人々との筆と共にありたい」
奔る、奔る、奔る、刻が奔る。
そして無尽の世界にその音は消えていく。
それでもこの音は重なり合い、響いていく。
刻は流れてーーそしていつか詩となる。
サクラノ刻は、詩となる。
なんだろう
詩として本当に美しいんだよなあ、この作品は